きら×うさ〜想いがつながる7日間〜
「あの……この漢字、何て読むんですか?」

「簿記、ですけど」

「ぼき……?」


あれ? この反応はもしや……。


「会社が書くお小遣い帳みたいなものです」

「へぇ……」


頷いているものの、ピンときていない様子。

数字に強そうだったから、てっきり知ってると思ってた。でもよく考えたら、簿記の授業は中学では習わない。

そりゃ知るわけないか……。


「吉良さんのオススメは?」

「わ、私は……」


軽く後悔しつつ尋ねると、そっと本が置かれた。
表紙には『風水で開運する方法』と書かれている。


「これは……占いの本?」

「はいっ。ここにいる人達、みんな相性抜群のカップルばかりじゃないですか。だから、頭一つ抜きん出るには他で勝負しないとと思って……」


早口で説明する吉良さん。

占い……現実派の自分にはあまり興味のないジャンルだけど、運も実力の内って言うしな。

成績に直接繋がらなくとも、チャンスや有力な情報を一足先に掴めるかもしれない。

数冊交換し、夜まで読みふけったのだった。
< 14 / 45 >

この作品をシェア

pagetop