ハードリップ/オンナ上司はタラコ唇~♥

第2幕/ 約束に向かって…♡

第2章 約束に向かって…♡
最初の約束



その後…。
先に口を開いたのはトシヤの方だった。


「これはオレの流儀です。で…、先に確認なんですが、今夜彼氏が待ってるとかなら最初から遠慮します。相手の方を思うと不憫なんで…」


これは”流儀”というより、彼独特のレトリックだった。


「いないわ。今晩どころか、ここんとこずっと空き家よ」


「そうですか!では、今のオレはあなたを抱くことで頭が占領されています。体もすでに”反応”してる。無論、”下”の方ですが。…とにかく、日ごろの仕事ぶりは以前から尊敬していたけど、今さらながら女性としても素敵だと気付いたんです。それがわかったら当然でしょ、この気持ちって…」


「今日、一夜限り…。これが絶対条件になるわ。どう、約束できる?」


「ええ。約束しますよ。できます!…これも先に伺いますが、他に条件があるなら今言ってください」


「…あるわ。私の部屋にして。他は無理…。それと避妊も条件ね」


「わかりました」


ここで決まった…。
二人はほどなくしてモームーンを出て、タクシーに乗った。


***


”ふふふ…、まあ、これが数時間前に交わした最初の約束だった訳だ。ならば、これから次の約束を取り付ければいいだけさ…”


トシヤがバスタオルを首に下げて部屋に入ると、アキはすでに着替えを済ませていた。
そして床には布団が敷かれていた。


”ほー、パジャマじゃなくTシャツにスェットの短パンか…。意外だわ”


「…じゃあ、私も化粧を落としてシャワーを浴びてくるから…。せんべい布団で悪いけど、あなたは先に休んでて…」


「ええ、すいません。布団まで用意してもらって。でも、すぐには寝つけないと思うな。やっぱり…」


「…」


アキはやや硬い表情で黙ったまま、浴室へと歩いて行った。


***


”ドライヤーの音が止んだ…。もう来るな”


トシヤは下着姿で布団の中に入っていたが、無論、目はギンギンに冴え切っていた。


そう…、言うまでもなく彼はこの後、彼女から”仕切り直し”の再約束をゲットするつもりでいたのだ…。


「いやあ…、すっぴんも素敵だなあ、課長…」


トシヤは寝室に戻ってきたアキに早速のジャブを浴びせたが、彼女は相変わらずの硬い表情でスルーした。


「じゃあ、電気消すわよ」


「ええ。でも、おしゃべりは可ですか?」


「あのね…、ここで口説いてきても絶対無理よ。約束したんだもの。男らしくそれは守って!」


その口調はびしっとした力強いでものはあったが、どこか普段の課長中原アキの毅然としたそれとは微妙に違っていた。


***


「課長…。明日、二課の方針が決まったら、僕をレジェンヌプロジェクトのチーフに据えてくれませんか?」


「えっ…?でも今の想定だと、あなたの案がそのままレールに乗るってことになると思うから、当然レジェンヌ戦略は風間君が課をリードする形になるでしょうけど…。通常のPTなら、課長の私が責任者で企画発案者がチーフってことでもいいけど、今回は課を挙げての新商品ものよ。一応、慣例では課長補佐か主任が発案者の間に入る…。たぶん、この慣例を崩すとなれば、課内に波風が立つわよ」


「そこは課長が抑えてください。…オレはこのプロジェクトを必ず成功させて、あなたの作り上げたレジェンヌをヒット商品にするつもりなんです。あなたとオレでグイグイ引っ張っていかないと、各支社毎、個別に統括するとなれば、現場の肌感を常に感じながら、リアルタイムでの軌道調整が不可欠です。そこはオレでじゃないと意味がない。即決を妨げる意思決定のクッションが入っては、キャンペーン進行の微調整機会を見誤ります。それが、今回のプロジェクトでは命とりになるんですよ!」


「…」


アキは即答を避け、しばし考えを巡らせていた…。




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