おじさんフラグが二本立ちました




「もしかして・・・した?」


ストレートに聞く私に驚いて
加寿ちゃんは頭だけを起こして目を丸くしたけれど


「うん」と幸せそうに頷いた


「そっか」


「身体も心も満たされたって感じ
すごく優しいの。卒業したら結婚したい」


「気が早いよ、これから大学に進学だよ?」


「分かってるって、大学卒業後の話」


口振りと表情の違いに不安になるけれど、こればかりは止めようもない


「それより、クリスマスの予定って
勉強だけだよね」


「プチ受験生だからね」


「「フフフ」」


「少しでも会いたいなぁ」


恋する加寿ちゃんには悪いけれど
簡単に付き合いを受けた竹田さんに
実は利用されてるんじゃないかと未だ疑っている


♪〜


話の途切れたタイミングに鳴り始めた携帯電話には

夏に付き合っていた元カレ、勝也《かつや》の名前が表示されていた


「・・・もしもし」


久々の電話に少し緊張したけれど
次の土曜日に中学のプチ同窓会をするらしい


「私と加寿ちゃん、参加で」


あっという間に切ったけれど
なんだか胸が騒ついたのは秘密


「加寿ちゃんは楽しそうでいいな
一ヵ月のお試しの私とは違う」


「一ヵ月なんてすぐだよ
どうするか決めてないの?」


「・・・うん」


夜中まで続いたお喋りはいつの間に寝落ちしたのか

気がついたら朝だった

翌日登校中の電車の中で彬からの着信を取った

(おはよう。よく眠れたか?)

「遅くまで加寿ちゃんとお喋りしてたから眠いよ」

(そうか。今度の土曜日朝から空けといて)

「無理、同窓会があるから」

(・・・断れないのか?)

「断らない」
彬のための予定変更とかありえない

(じゃあ同窓会が終わってから会おう)

「・・・うん」


苛立ちに携帯電話を耳にから離した途端

今度は加寿ちゃんの電話が鳴った

ハイトーンになる加寿ちゃんに竹田さんだと確信する


返事から推測するに土曜日の予定を聞かれてるようだ

一度ミュートにした加寿ちゃんは


「同窓会のキャンセルって出来るかな?」


予想を裏切らず寝返りそうだ


慌てて彬の名前をタップするとワンコールもしないうちに繋がった


「やり方汚いよね」

(何のことだよ)

「しらばっくれて
友達を使って攻めてくるとか
従順な部下をお持ちで羨ましい限り」


言いたいことを言って通話を終わらせると同時に電源も切った




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