おじさんフラグが二本立ちました



コンコン
ドアがノックされると同時に


「入っても良い?」


姉のえりが入ってきた


「お母さんが心配してるけど
彼氏と何かあった?」


「お母さんが心配?ありえないよね」


母は自分によく似た姉のことだけを大事にしている

だから、私に対しての心配なんて
取るに足らないくだらないもの

そう思えてしまうほど、母との溝は深い


「みよっ、いい加減にしなさいよっ」


「・・・大きな声を出すなら
出て行って欲しいんだけど」


「みよが子供みたいなことを言うからでしょう?」


「子供なんだから、良いじゃない」


くだらない言い合いは、普段静かな姉のスイッチを押したようで


「子供だから気分屋なのは仕方ないけど
彼氏のことも、一ヶ月のお試しを途中で投げ出すなら、最初に断れば良かったんだよ
強引にお試しって言われたって断ることは出来たでしょう?
親まで巻き込んだ癖に何してんの」


付き合いを突いてきた


「投げ出したんじゃないの!
部外者は黙っててよ!」


「悲劇のヒロイン気取りね
負け犬は尻尾を巻いて退散しなさい」


「なによ負け犬って!
えりなんて彼氏もいたことない癖に!」


姉の煽りに乗せられた結果
声を聞きつけた母がやってきた


「どうしたの、あなた達」


姉妹の喧嘩に割って入った母は
初めての喧嘩にオロオロするばかり

どちらの味方でもない様子を見て

本当は口も聞きたくないけれど
この際巻き込むことにした


「えりが喧嘩を売ってきた」


「違う。この子よ」


「二人とも落ち着いて
座って話しをしましょう」


彬との付き合いだけを話した姉に
暫く考えていた母は「あのね」と口を開いた


「自分が納得して別れたのなら仕方ないけれど
落ち込んでいるように見えるのはどうして?」


「・・・」


「あくまでも、お母さんから見た彼のイメージは
みよちゃんを大事に想っている感じだけど」


「お母さん、この子意固地だから理解なんて出来ないよ」


「反対してる付き合いが終わるんだから、もう良いじゃん」


「反対とかの問題ではなくて
お互いに尊重し合える付き合いじゃないと上手くはいかないと思うの
だから、歩み寄るところから始めなきゃ」


「・・・」


彼のことがキッカケとはいえ、数年振りに話した母は
記憶の中にいる昔の母と変わっていなかった


気持ちが少し落ち着いた頃
階下から父の声がした


「お父さんには秘密よ
みよちゃんのことになったら
すぐムキになるんだから」


「お子様みよ、お邪魔さま」


最後まで煽りを忘れない姉は
舌を出して小さく手を振ると母を連れて部屋を出ていった


ベッドに寝転がって天井を眺める
真っ白を見つめているだけで
いつの間にか眠っていた


目が覚めると部屋の中は真っ暗で
携帯電話には彼からの着信履歴が並んでいた

着信拒否をしても
履歴が残ることに苦笑いをして


そのまま、また眠りに落ちた





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