おじさんフラグが二本立ちました




ーーーー学部発表当日



午前十時のネット発表に合わせて家に来た加寿ちゃんとパソコンを見つめていた


更新ボタンを押すこと数回


「「やった〜」」


二人とも無事希望学部に進めることになった


「ねぇねぇ」


「ん?」


「結局のところ“お試し”はどうなったの?」


「一月五日で一ヶ月なの」


「もちろん、このまま付き合うんだよね?」


「・・・」


本当は真逆の答えを出している

だからお試しと約束した以上
五日にはキッチリとした返事をするつもりでいる

ただ、彬の仕事がお正月から立て込んでいるらしく
次に会えるのは一ヶ月を過ぎた七日になるそうだ


五日は毎年父の会社の関係業界のパーティーが開かれる
彬の会社も関連があるから会場のホテルで会えたら良いと思っていた分、若干の肩透かしだった


コンコン

「みよ、入るよ」


開いた扉からひょっこり姉が顔を覗かせた


「あ、加寿ちゃんいらっしゃい」


「お邪魔してま〜す」


「ゆっくりして行ってね」


「てか、なんの用なの?」


「もぉ、みよはセッカチねぇ
パーティーの服、お父さんが買いに行かないのかって」


「・・・ん、興味もないけど、服は買って貰う」


「みよは現金」


「夜で良い?」


「あ、みよちゃん、私お昼で帰るよ」


「え、なんで?」


「今日は家族で食事会だって」


「そうなんだ、じゃあお昼から行けるよ」


「了解っ」




加寿ちゃんが帰ってから姉とデパートへと出かけた

パーティーに出席すること自体、大人は面倒だ

彼との食事もドレスコードがある店があって本当面倒臭い

そんなことばかり思う私は、やっぱり子供なのかもしれない



ーーーーーパーティ当日


姉の予約してくれた美容室でヘアメイクを済ませるとホテルへ向かった


会場は千人も入るホールだけあって人で溢れている


「みよっ!みよじゃないかっ」


入って早々、名前を呼ぶ大きな声に振り向くと
スーツ姿の男性が手を振りながら近付いてきた


「え・・・直也なの?」


少しの違和感を感じながらも懐かしい顔に憂鬱だと思っていた時間が急に楽しくなってきた


「「久しぶり」」


ハイタッチをする私と直也を見ながら
姉と父が不思議そうな顔をした












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