ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 が、このバーデン帝国では違う。

 いまの皇帝のお父様、わたしには義父にあたる人は、皇帝の座に就いたことで満足した。皇帝の座に就いてからというもの、放蕩三昧の日々を送った。レディをはべらせ、ハーレムを築いた。

 そして、数えきれないほどの皇子が産まれた。

 その皇帝は、何事においても見境がなかった。この世の絶頂に酔いしれ、自国の政治に関心はなく、他国からなめられても放置していた。

 そんなある日、その皇帝の栄華は唐突に終わった。

 皇帝は、第一皇子とその後ろ盾である宰相一派によって暗殺されてしまったのである。
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