ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?

別れ

「チカ、すまない。陛下のところまで付き添いたかったが、どうしても彼に会いたくなくってね。それに、部下たちを連れて行かねばならない。あの先頭の二人は、参謀と副将軍の地位に就いている優秀な連中だ。年齢もきみよりすこし上だから、こんなおっさんよりよほど話が合うだろう。あと数時間、彼らがきみをエスコートしてくれる」
「では、ここでお別れということですか?」

 なにもかもが突然すぎる。

 せめてあと数時間、いっしょにいてほしかった。

 ただの甘えということはわかっている。結局、クラウスとは別れることになる。ほんの少しだけそれがはやくなったというだけのこと。
< 94 / 759 >

この作品をシェア

pagetop