巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
無理やり乗せられた馬車の中では修道士二人に両脇を固められてしまい、身動きが取れないので逃げ出すのは難しそうだ。ちなみに私の正面には司祭が偉そうに座っている。
私はもう一度この状況の説明を求めようと司祭に問いかける。
「これは一体どういう事なのですか!? きちんと説明して下さい!!」
相手は司祭で巫女見習いの私がこんな口の聞き方をして良い相手ではないけれど、あまりの理不尽さにムカついた私にそんな配慮が出来る筈もなく。抗議する私を司祭はジロリと鋭い眼光で睨みつけてきた。
「お前は巫女見習いの身でありながら、あの『紅眼の悪魔』と懇意にしているな?」
司祭の放った言葉に、私の心臓がドキリと跳ねる。
「え……紅眼……悪魔……?」
(……それって、やっぱりエルの事だよね……)
「隠しても無駄だ。こちらで調べは付いているぞ」
調べは付いていると言う司祭の言葉に、法国が持っているという魔道具の事を思い出す。
(すっかり油断していたけれど、例の異形の者を見つけ出すと言う魔道具が使われていたんだ……!)