巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
付き人さんは私の話を真剣に聞いてくれて、励ましの言葉まで掛けてくれた。さっきのあのツルッとしたバーバリ司教とは大違いだ。
「こんな話をしたら街の皆んなに心配かけるから、誰にも言えなくて……」
ずっと心のなかに溜め込んでいた不安や悩みを打ち明ける事が出来て、心が少し軽くなる。
(やっぱり、一人で悩んでいたらダメだよね。考えが悪い方へ行っちゃうもの)
「話を聞いて貰ってスッキリしました! 有難うございます!」
私は付き人さんに笑顔でお礼を言う。そんな私の表情に安心したのか、付き人さんはホッとした表情を浮かべ、微笑んでくれた。
(そう言えばこんなに沢山お話したのに、付き人さんの顔をじっくり見ていなかったや)
孤児院や子供達のことで頭がいっぱいだった私は、周りを見る余裕がなかったのだろう、ちゃんと見た付き人さんは穏やかで優しそうな、整った顔をした男の人だった。
「そうですか。心が穏やかになられたようで安心致しました。では、ごきげんよう」
付き人さんがそう言うと、私の目の前で門が閉められて、木の木目が視界を埋め尽くす。
「……え?」