無口な担当医は、彼女だけを離さない。


日和は照れながらも昨日のことを話してくれた。


今まで1回も恋愛対象として見てなかったのになんでOKしたのか聞くと、


「告白してくれた時めちゃくちゃ手が震えてて自分でもこんなに好きになってくれる人がいるんだって思ったから」


と言っていた日和。


その話を聞いてなぜか私が泣きそうになってしまった。ほんとに誰目線なんだろう。



「よかったね、疾風くん喜んでたでしょ」

「うん。OKした途端叫びそうになってたから止めたけど」

「めちゃくちゃ想像つくなぁ…」




後々返ってきたlineでも文面だけで嬉しさが伝わってくるほど前のめりだった。


よかった…疾風くんの恋が今度こそ上手くいって、安心しているのは私情も少し入っている。


告白してくれたのは嬉しかったけどきっとこれから私が世那くんを嫌いになることなんかなくて、


変に期待を持たせてしまうのが申し訳なかったからはっきり断ったあの日。


疾風くんのことをかなり傷つけてしまったのは分かっていた。


でもその確信がある以上どうすることもできなかったから今こうして上手くいっている姿を見るとすごく安心する。


しかも相手は日和だしきっとこれからも上手くいくと思う。

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