オタクな俺とリアルな彼女。

キモオタのリア恋勢な俺。


現在,23時。

俺こと,水無月 薫(みなづき  かおる)はイヤホン完備&スマホを握り締め,冷たい画面を一心に見ていた。




『彼氏がよそよそしい気がする? 幼馴染みだと言う女子とは仲がいいのに?』



耳に響く,心地よい声。

美人 丸に近いメガネ 黒髪ロング デカイ胸 口元のホクロ ハスキーな声 そして酒好き。

俺ら"リスナー"が得られる情報は,そう多くない。

それでも"彼女"にリア恋してしまったのが,何を隠そう俺だ。

なんなら,彼女の配信を見ている男は大抵そうだと思う。

世の中男なんてそんなもんだ。

こんだけ美人で,賢くて,時間を共有できる人なんて……

ゲーミングチェアに胡座をかいて座る彼女を眺める。

あー,くそ。

黒のタンクトップに短パン。

無防備な格好で酒の缶を回している彼女は,静かに考えているのだと瞳から分かった。

やがて思考が纏まったのか,缶をぶら下げながら口元まで上げ,「ふむ」と言う。
< 1 / 47 >

この作品をシェア

pagetop