真面目な鳩井の、キスが甘い。

好きすぎて嫌いで、好き。

 そして、鳩井たちは試合に勝った。


 後半戦、放心状態の私が戻った時にはもう20-15、鳩井たちがリードしていて。

 鳩井がお手本のようなシュートで最後の1ポイントを決めるのを、私はまだボーッとする頭で眺めていた。


「嘘だ……」


 私の気持ちを代弁してくれたノアが、膝から崩れ落ちた。


「鳩井!!すげぇよお前!!」「本当に勝っちゃったよ鳩井〜!!」


 晴翔と尾道くんが鳩井に抱きついて、見ていた生徒達も大興奮で3人に駆け寄る。

 ノアが私とどうこう言っていた話はもう忘れ去られ、ポンコツ改めスーパーマンになった鳩井の話で持ちきりだ。

 ぐったりする鳩井はみんなに頭を撫でられたりハグされたり、されるがまま。


 ……ほんとに凄かった。

 かっこよかった。


 不意に鳩井と視線が交わった。


「!」


 インターバルの熱がまだ完全に冷めていなかった私は、自分でも驚くほど大袈裟に心臓が跳ねた。

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