真面目な鳩井の、キスが甘い。
「晴翔~おっはー」

「おっす美愛ー」


 私たちの幼馴染、(さわ) 晴翔(はると)

 爽やかの押し売りみたいな名前のこの人は、確かに見た目も爽やかで部活も爽やかなバスケ部だけど、小さい頃から私を馬鹿にすることを生業としているいけ好かないイケメン。

 まぁ悪いやつじゃない。


「こちらドキッ☆女だらけのセクシー討論会やらせてもらってます、入ってこないでくださーい」

「やめてーそんな下品な名前の討論会に勝手に参加させないで―」


 しれっと裏切った美愛になにか抗議しようとしたとき、晴翔のポッケからなにか折りたたんだ紙がはみ出てるのが見えた。


「…?晴翔、なんかポッケからはみ出てるよ」

 私に指差されて気付いた晴翔がカサッとその紙を取り出す。

「ん?なんだこれ」

「え、知らないの?」

「知らん」

「待った、それってさぁ」

「ん?」

 止めようとする美愛に構わず晴翔がおもむろに紙を開いた。


 【メッセ待ってます♡】

 という可愛い文字のあとにメッセージアプリのIDと、クラス、名前。


 ハッとした晴翔がパン!と両手を合わせてメモを隠した。



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