真面目な鳩井の、キスが甘い。

「どうせキスもまだしたことないでしょー?」

「あっ、あるし!」

「「え」」

 2人が私を見て、ハッとする。

 つい意地を張るために言ってしまった!

「キスしたの?誰と?聞いてないよ」

 美愛が私に距離を詰めて圧をかける。

「……まさか幼稚園とか言わねぇだろうな」

 その後ろで晴翔が顔に影を落としながら据わった目で言う。


「……ゆ」

「「ゆ?」」

「夢の中で少々」

「「……」」


 晴翔が私の顔をゲンコツで挟んでグリグリし始める。


「痛い痛い痛い」

「どーせどっかのイケメン俳優との夢だろーが、あぁ!?身の程を知れ、身の程を…!!」

「いいぞ晴翔〜やっちゃえー」


 なぜか怒る晴翔となぜかそれを応援する美愛。


 幼馴染たちにいじめられながら思う。

 もし相手が鳩井だなんて言ったら、しっかりしろ!って往復ビンタされた挙句病院に連れていかれそうだ、黙っとこう。
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