真面目な鳩井の、キスが甘い。
「ちょっと日向!!運転中に大きい声出さないでよ!死にたいの!?」

「あっごめ、ごめん!えっ、だーさんやばい!だーさん!やばい!!」

「なによ」

「えちょっと待って、確か夏明け? って言ってた? 夏明けっていつ!?」

「えー? 知らないわよそんなの、時と場面によるでしょうけど……もうそろそろなんじゃない?」

「もうそろそろ!? うわ、うわぁー! うわぁ~~~!!」

「もーうるっさいわね!なんなのよ!」

「言えない!!」

「なんで!!」

「言えないの~~~!!」

「じゃあ静かになさい!!」

「ギャン!!」
 

 至極まっとうなツッコミに、まだ発狂したい気持ちを押さえこんで大人しくシートに座り直した。


 こんっっっな大事なこと忘れてたなんて!

 鳩井が発症するところ久しく見てなかったから忘れてた…。

 えっと、鳩井がキス魔じゃなくなったら、恒例の保健室でのキス会ってどうなるんだろう?

 鬼ちゃんが保健室貸してくれてるのはあくまで医療行為ってことだから……おしまいになっちゃう?

 えぇ、キス会なくなったらどこでキスしたら……って、そっか、別にキスしなくても大丈夫になるからしなくていいんだ……

 
 え待って

 鳩井がキス魔じゃなくなったら私とのキス、おいしくなくなるってことだよね

 ……鳩井、おいしくなくなっても、私とキスしてくれるのかな……?


 あれ……?

 そういえば鳩井って、なんで私を好きなんだろう……?
 

< 305 / 320 >

この作品をシェア

pagetop