真面目な鳩井の、キスが甘い。
「くっ」


 さすがに4人もいるとよけきれなかったらしい澤くんが、苦肉の策でボールを投げた。


「!」


 ──こちらに。


 あっ、取らなきゃ。

 そう思って咄嗟に手を伸ばした。





 が、





「んぶっ」





 残念ながら、伸ばした手を華麗にすり抜けたバスケットボールは僕の顔面に直撃した。




「「「鳩井ーーー!!」」」




 倒れ込みながら、やっぱり眼鏡をしないと距離感が掴めないな、でも眼鏡を外しておいて正解だった、なんて矛盾してることを考えた。

 そして、体育館に澤くんを始めとするみんなの声と、自分の体が床にノックアウトされる衝撃音が響き渡った。
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