中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。

まさか、聖女のキスにそんな副作用が


 私は、三日三晩意識を失っていたらしい。
 離れることなく、看病してくれていたミルさんが、涙ながらに教えてくれた。

「……レナルド様は?」

 寝ている間に、魔力は回復したらしい。
 ヨロヨロと私は、ベットから起き上がる。
 あの時、呪いのせいで、私以上に限界だったのは、レナルド様の方なのに。守護騎士様は、相変わらず無理をする。

 ここ数年、いつでも近くにいてくれた、その姿が見えないせいで、嫌な予感が胸を占める。

「レナルドは、無事よ? 安心して休んでいなさい」
「っ……無事なら、どうしてここに、いないんですか?」
「……私が、嘘ついたことある?」
「……ないです」

 ミルさんの発した、その問いに関する正確な答えは『ない』ではなく『できない』だ。

 魔法使いとしての力には、制約がある。
 強大な力を使うことができる代わり、ミルさんの場合、嘘をつくことができないらしい。

 そのことを、以前そっと教えてくれたミルさんに、「どうしてそんな大事なこと私に」と聞いたら、「信頼がほしいから」なんて答えが返ってきて、号泣したのは記憶に新しい。

「……じゃあ、どうして」

 私がつぶやくと、長いため息のあと、ミルさんはカーテンにそっと隙間を作った。

「黙っていても、いつか分かることね。……見てみなさい」
「あ……」
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