この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~

 でも、実はディル様からちゃんと贈り物をもらったのは初めてなのだ。
 浮かれてしまうのは、仕方がないと思う。

「いや、意外と人気があるんだなこのクマ。並んでいる間、ものすごく注目を浴びたよ」
「……それは」

 確かにこのクマは、一部にものすごく人気がある。
 けれど、注目を浴びてしまったのは、違う理由だと思う。

「そんなの、カッコよすぎるディル様が、大きなクマのぬいぐるみを持って並んでいたからですよ」
「そう? 似合わなかったかな」

 ニコニコと笑うディル様。
 いつもの無表情と比べ、明らかに無理をしているのではないだろうか。

(仲良し夫婦を演じてくれているのかな)

 契約結婚をするにあたり、私たちは三つの取り決めをした。

 ――契約結婚は、半年間とする。
 ――その間は、仲良し夫婦として過ごす。
 ――双方の合意があれば期間の短縮が可能。

 胸がズキズキと痛む。
 学生時代からいつだってディル様の背中を追いかけてきた私。
 周囲から、どんな目で見られているかも理解している。

(金にものをいわせて、ディル様を手に入れた成金悪女)

 そんな噂が立ってしまったことに心を痛めるディル様の優しさだろう、この取り決めは。
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