私のお願い、届いてますか?
すっかり薄暗くなったオフィス。電気がついているのは、私の頭上近くと入り口付近のみ。

現在の時刻は、夜22時40分。

グーッとお腹が鳴り、ストックしてあるプロテインバーを引き出しから取り出す。

全然、キラキラ女子じゃない。

この瞬間、いつもそう思う。

山奥の田舎暮らしだった私は、東京に憧れて大学生活を機にこっちに出てきた。初めて肌に塗る化粧品の感覚は、不思議と今でも覚えている。

大学生活はおしゃれに目覚めて、アルバイトして貯めたお金も美容やファッションに費やした。

彼氏を作って、素敵な恋愛をするのを夢見てた。

そんな中、初めての合コンで出会ったのが、今同棲している恋人、相村秀人。一つ年上で、合コンでは寡黙な雰囲気だった。

ただの数合わせで来たとだけ言って、一杯のカクテルを時間をかけてゆっくりと飲んでいた姿が印象的だった。

格別イケメンだったわけでも、優しかったわけでもないのに、不思議と秀人のことを目で追っていた。

その後、特に何もあるわけでもなく、私は大学とアルバイト先のカフェの行き来で月日が流れていった。

そんなある日。
レジで注文を受けているときに偶然遭遇したのが再会だった。


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