私のお願い、届いてますか?
「…雰囲気変わったね」

えっ?

「…そんなことないと思うけど…」

目の合った秀人の言葉に、心当たりがなく疑問に思う。

「…ちょっと焼けた?」

あっ…

「…そうかも」

日焼け止め塗ってたけど、どうしても沖縄の暑さだと焼けてしまう。

「…こっちの梨々香もいいと思う」

まさかの言葉に、私の心臓の鼓動が一気に速くなっていく。

〝いいと思う〟

なんて、これまでに言われたことがあっただろうか。

やっぱり、今日の秀人は優しすぎる。ううん、元々優しいのだけど、今まで言葉にすることが極端に少なかった。

沈黙が続き、気がつくと電車への乗り換えのホームについていた。

「…家に着くの、23時くらいかな」

「…そうだな」

「明日、研究室?」

「…いや、論文出し終わったから、明後日まで休み。月曜からは論文の手直しだから忙しくなると思うけど…」

秀人の連休が珍しくて、ちょっと驚く私を見て、秀人はクスッと笑った。

あっ…今の表情、私のすごく好きな表情だ。

「…梨々香は?」

「わ、私も、月曜日から仕事」

つまり、土日は秀人と一緒にいられると言うこと。

何年ぶりかな。嬉しすぎる…。



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