私のお願い、届いてますか?
『えっ七夕まつり?嬉しいけど…秀人さんと行けばいいのに』

大学からの友達の澪を誘ったら、電話越しにそう言われた。

「研究で忙しいって…」

『ああ、なるほどね。そう言うことなら』

秀人の研究好きを知っている澪はすぐに納得して、一緒に行ってくれることになった。

『それにしても、付き合って長いんだから、そのまま結婚しちゃいなよ』

えっ

「きゅ、急にどうしたの?」

『だって、2人ともお似合いなんだもん』

意外だった。そんなこと誰からも言われたこと無かったから。

「そうなのかな…?」

『あっ、俊樹帰ってきた。続きはお祭りの時に話そう?』

「うん!一緒に行ってくれてありがとうね」

『ううん。こちらこそ、誘ってくれてありがとう』

電話を切った後、スマホをテーブルに置く。

澪と俊樹くんは大学四年生の時から付き合って、今年の春に入籍した。式はもう少し落ち着いてからあげるって言ってたなあ。

いいな、新婚さん。

そう思った自分に、ちょっと驚く。結婚っていうことにそういう感情を持ったことなかったから。

結婚して、子どもいたら…秀人はどんなお父さんになるんだろう。

でも弟と妹いるって言ってたし、意外に面倒見良かったりするのかな。





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