初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる

「上京したキートのこと、ツムグくんが教えてくれたことがあるの。彼はジュリちゃんを諦めちゃいないよ、って」
「……な」

 婚約破棄したにもかかわらず、樹理と紡は年のはなれた兄と妹のような関係を密かにつづけていた。樹理を裏切るようなことをして申し訳ないと謝罪もしてくれた。年上の妻との間に生まれた赤ちゃんはとてもかわいかった。あのあと父親の会社との取引も再開してくれた。だから樹理は紡のことを許している。紡は気づいていたのだ、自分よりも年齢の近い義弟の方へ、彼女の心が傾いていたことに。義弟も彼女に本気でいる……と。

『ジュリちゃん。俺がこんなこと言うのもアレだけど。キートが……俺が婚約破棄を言い渡した二十八歳くらいになるまでは、待ってやってくれないか?』

 きっと彼は初恋を捕まえにやって来るから、と。
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