私の彼氏は浮気をしている
十二月二十五日、この日は誰もが笑顔を浮かべるクリスマスだ。街は華やかな赤や緑、銀や金の明かりに染まり、街中には大きなクリスマスツリーも飾られて、クリスマスソングが流れている。

多くの家では今日はケーキやチキンでお祝いをし、楽しく過ごすはずだ。だが、そんな楽しい日だというのに、暗い顔をした少女が一人いる。そばかすのある顔に、ボテッと腫れた一重の目、短く切られた黒髪は癖毛でまるで鳥の巣のようだ。お世辞にも「可愛い」「美人」とは言えない容姿である。

そんな彼女の手には、血まみれの包丁が握られていた。フローリングの床には、血まみれの男女の遺体が転がっている。

「アハハ!」

少女は、泣きながら笑った。



高校生の深町翠(ふかまちみどり)の大きな悩みは、双子の妹の桃(もも)とは真逆の自分の容姿だ。

翠はボテッとした一重だが、桃はパッチリとした二重だ。鳥の巣のような癖毛の翠に対し、桃はサラサラのストレートヘアである。翠は日に焼けやすく地黒だが、桃はまるで雪のように白い肌をしている。翠は小学生と間違われるほど背が低くぽっちゃり体型なのだが、桃はモデルのように背が高くスラッとした体型である。
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