if…運命の恋 番外編Ⅲ『愛に変わるとき』

努力?それとも愛?


息子夫婦のキスシーンを朝から観る事になるとは。
俊のヤツ、場所をわきまえろってモンだ。


息子夫婦から顔が見られないように新聞で自身の顔を隠しながら、心の中で悪態をつく。
それにしても、春子は昔の話を持ち出したのは何故だ?

まさか、嫁の薫さんに俺たちの若い時の事を話したとか?
あんな言い方したら、息子夫婦みたいに私達がまるで同じ事をしてたみたいじゃないか?!
確かにウチの母親にそんな事も言われたほは覚えているが。


「私、優人を起こして来ますね」
『ああ、僕が行くよ。薫は座ってて』

薫が、まだ寝ている優人を起こしに行こうとしますが、俊は すかさず立ち上がり、薫に座っているように勧めます。そんな気遣いをする息子に俊のお母さんの春子は笑顔を向けるのです。

「薫ちゃん、俊ちゃんはいつもあんな感じ?」
「え、、そうですね」
「俊ちゃんは あの歳まで親に好きになった娘を紹介しなかったのよ。 それが薫ちゃんに出会ってからは、私達の目の前でも、あんな風に薫ちゃんにベタ惚れですって感じでしょ?うちの息子はいつもそうなのか気になってね」

姑の春子の言葉に薫は申し訳なさそうに俯く。

「、、なんだか、すみません」
「いやだわ~ 謝る事じゃなくて、薫ちゃんには感謝しかないの。だって俊ちゃんが高校生の頃なんかは、女の子にモテてね~なのに彼女っていう特定の女の子見た事なかったの。だから俊ちゃんが女性に優しくしてるとか、あんなに薫ちゃんにくっ付いてるのが不思議でねぇ~」

「そうなんですね。私にはいつもああやって気遣いをしてくれるので、、」
「ふ~ん・・そうなのねぇ。ですってお父さん! 私も言った台詞よね? それにやっぱり俊ちゃんはお父さんにそっくりだわッ!」

「・・そうか?」

お義母さまに、突然そうふられたお義父さまは短く言葉を返すと、読みかけの新聞に再び視線を移した。でも、普通にお話に参加できるなんて、お義父さまって、、もしかしたら、新聞に集中してるわけじゃないんだわ。って考える薫でした。

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