さよなら、坂道、流れ星
昴の察しの良さもなんとなく腹立たしい。昴がバイクを持っていることが羨ましいのは本音だし、もっと本音を言うなら知らない間に免許をとってしまった昴に対して少しの怒りと寂しさを感じていた。

(なんか昴、最近秘密が多い気がする…)

「チズ、ほらこれやるから機嫌直せ。」
そう言って昴が千珠琉の手のひらに乗せたのはチーズ味のお菓子だった。
「チズにはやっぱりチーズだよな。」
「もうそれ聞き飽きたー。」
千珠琉はわざと頬をぷくっと膨らませてムッとした表情をして見せたが、隠しきれない内心の嬉しさが漏れ出している。
「でも私これ好き。ありがとう。」
素直に笑顔で伝える。
「あ!もう今週末だね、流星群!絶対一緒に見に行こうね!」
「あー…そういえばそうだったネ…」
目をキラキラさせている千珠琉とは対照的に昴は面倒そうに答えた。
「もー!昴興味無さそー。」
「実際あんま興味ないって。だいたいチズは何座流星群か知ってんの?」
「えー知らない…。」
千珠琉のテンションが若干下がったのがわかる。
「みずがめ座でしたー。」
千珠琉の頬がまた膨れる。
「そんなの知らなくたって関係ないもん!願いごとには。」
「好きだねそういうの。チズは昔っから。」
「うんっ。」
千珠琉の表情があまりにもコロコロ変わるので、昴は思わず笑ってしまった。
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