さよなら、坂道、流れ星
「大河内って小清瑞(こっち)に親戚いるの?」
「え?あ、えっと確かおじいちゃんおばあちゃんがいたはず…なんで?」
「親戚がいれば年末年始とかには小清瑞に戻ってくるから会えるんじゃない?って思った。」
「あ、そっか!」
千珠琉の表情がぱぁっと明るくなる。
「ていっても、それも喜べるのって最初だけだと思うけど。」
「どういう意味?」
「そのうち彼女連れとか、もっと時間経ったら奥さんとか子供とか連れてくるでしょ。親戚の家なんて。」
千珠琉の表情が一気にドン底のように暗くなる。
「こまちは“兄妹(きょうだい)”なんて言うけど、あんた達は結局他人なんだからね。少女マンガに出てくる彼氏の地元の幼馴染みなんて完全に邪魔者でしょ。」
(由梨って少女マンガ読むんだ…意外ってそうじゃなくて)
「じゃまもの…」
「異性の場合は仕方ないよ。」
カフェの店内で二人のテーブルだけがシーンとしてしまった。
「そんなお通夜みたいな顔するんなら、今告白した方が良いって思うけど?流星群なんて告白のチャンスじゃん。」
「…………。」
「あ、待って、明日天気悪いかも。」
由梨がスマートフォンを見て言った。
「え」
千珠琉の表情(かお)がまた絶望的なものになった。
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