さよなら、坂道、流れ星

第3話 沈黙

週末 金曜が土曜に変わる頃、千珠琉と昴は家の近くの坂を登ったところにある清瑞台(しみずだい)公園にいた。
「どっち見れば良いの?」
「んーちょい待て。調べる。」
千珠琉の希望で来ているはずなのに、なぜか当たり前のように昴がスマホを取り出す。昴が調べている間、千珠琉は高台の公園から見える海を見ていた。
「この公園、海も見えて良いよね〜。都会じゃないから夜景的なのはいまいち地味だけど。」
「お、空全体に流れるって。」
「うーん、全方向見るより方角決めてくれた方がラクだよね…。」
千珠琉は少し残念そうに言った。
「自然相手に無理言うなよ。1時間に多くて10個くらいだってさ。ベンチに座って見ようぜ。」
親指でベンチを指差した昴は千珠琉の手を引いてベンチに腰を下ろした。
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