ひとりぼっちのさくらんぼ

第二話


二年六組は、東校舎の中央階段のすぐ前にある。

階段の壁には、大きな窓があって。

そこからすきま風が吹いてくる。

だから夏は涼しかったけれど、これからやって来る冬は、今以上に寒いと思う。



あたしは教室の中でも廊下側の席で。

しかもドアに一番近い、後ろの席。

授業中だって、足元が冷える気がする。



いつもの休み時間は、この席にずっと座っていることはなくて。

トイレに行ったり、体を動かして温まるために、無駄に廊下を歩いたりしている。



でも。

でも、今日からは違う。



机にかじりついて、あたしは構想を練っていた。



どんな主人公?

話のジャンルは?



考えれば考えるほど、悩んでしまう。

その悩んでいる時間が、楽しい。



(『孤独な月をあなたにあげる』みたいな、ラブストーリーを書きたいなぁ)



主人公は高校生の女の子にして。

共感度抜群な、ラブストーリーにしたい。


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