ひとりぼっちのさくらんぼ

お姉さんもテーブルに置いていたスマートフォンを持って、何かを操作したらしく。



「あ、きたよ。連絡先、これだよね?」
と、市原さんに画面を見せている。



紙にアドレスなどを書いて、いちいち手動で入力しなくても。

何かの操作で、簡単に連絡先を交換出来るなんて。



(未来って、すごいんだなぁ)
なんて、またあたし、未来の技術の進歩を目の当たりにした気がする。



市原さんは、
「じゃあ、また連絡する」
と、席を立った。



「あの、じゃあ、さようなら」



お姉さんが小さく手を振る。



市原さんは、
「またね」
と、片手をあげた。



市原さんが階段をおりて行くのを見守ってから、あたしはまたお姉さんの向かいの席に座り直した。



「何、あの人。かっこいいね。イケメン」



あたしがお姉さんに話しかけると、お姉さんはきょとんとした。



「え、何?」



あたしも思わずきょとんとする。



「あれ?J Kちゃんは知っているでしょう?」

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