ひとりぼっちのさくらんぼ

「え?」

「覚えてないんだ。気づいたらさ、お姉さんのリビングのソファーで……。どうしよう、なんか怖くなってきた」



お姉さんはあたしをじっと見て、
「J Kちゃん、私がいるから大丈夫」
と、はっきりした声で言った。



「タイムスリップした私が、今はこうしてきちんと人生を歩んでるんだから。あなただって、きっとそうなる」

「でも……」

「ちゃんとあなたの時代に、あなたは帰ることが出来るから。私が、それまでそばにいて、協力だってする。だから、そんな顔をしないで」



あたしは静かにうなずいた。

お姉さんがそばにいる。

あたしはひとりだけど、ひとりぼっちじゃないのかもしれない。




さくらんぼみたいに。







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