深紅の復讐~イジメの悪夢~
第八章 渡辺奈々美side

疑惑



「っ……、彩綾ちゃんが…。」


恐れていたことが起きた。

彩綾ちゃんが自殺した。

偶然じゃない。

あたしたちは知っている…。

きっときっと、これはぶーちゃん…愛香が陰にいる。


「………やっぱり、公開した方がいいと思う。あの写真。」


あたしは、歯を食いしばって、麗華姫に言った。

麗華姫は、彩綾の両親から彩綾の死を聞いて、俯いている。

麗華姫の様子が、普段と違う。

何か、違和感がある。



「彩綾……。」



ぼそっと、麗華姫が呟いた。



「どう……して…。」



心なしか、麗華姫の顔がいつもより白かった。


「やっぱり……絶対。」


麗華姫が一点を凝視して何かを呟いている。



「あたしが…あそこに居たのに…。」



そこまで言うと、麗華姫は顔を上げた。



「ななみん。」

「っ……はい」



突然呼ばれて、動揺する私。



「あの写真は、撒かない。」



麗華姫がキッパリと言った。



「え…?」



聞き間違いかと思った。

あの写真は、最後の切り札。

それを、なぜそんなに早く手放すの…?



「どうしてっ……!」

「うるさいっ!!!」



一気に目が吊り上がった麗華姫が、あたしの頬を叩いた。

パンっと大きな音が鳴り、ワンテンポ遅れて、鋭い痛みが走る。
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