深紅の復讐~イジメの悪夢~

奈々美?ななみん?


「さー、ことーしも、やって参りました!委員会ぎーめ!」

訛りがちょっとだけ少なくなった佐藤先生がビシッとポーズを決めて言う。


「イエ————イ!!」


ノリのいい人たちが叫ぶ。


なんか、佐藤先生、頭大丈夫かな?とか最初は思っていたけど、意外と明るくていい先生っぽい。


「さー、さー、がっきゅー委員やりたい人ーは!?」


でも、今日の佐藤先生のテンションはおかしい。

頭のネジが飛んだのだろうか?


「はいっ!!」


響き渡る澄んだ声。

誰もやりたがらない学級委員に立候補したのは、

麗華だった。

教室の女子からは一斉に安堵のため息が漏れる。

これで他の女子は学級委員をやらなくて済む。


「Hey hey hey!!男子ーはどーかな!?」


……本当に佐藤先生、テンションおかしい気がする。


男子にはピリリとした緊張が走る。

お互い横目で他の男子をうかがっている。



「おい、池田、やれよ。」

「無理無理!」

「吉田は?お前去年やってただろ?」

「もう懲りたって!」

「神崎は?」

「いやいやいや!俺は無理!伏見はどうだ!?」

「伏見か!」

「いいよな、あいつ。」



周りにこんな会話が飛び交う。

そうこうしているうちに、会話の方向は一つにまとまっていく。



「伏見だろ。」

「伏見しかいねーだろ。」

「伏見かな。」

「伏見やってみれば?」



————伏見亜希。

あたしの隣の席の人。

なんというか、すごくイケメン。

そして運動ができて、なおかつリーダーシップがある。

みんなに頼られるのは必然的で……


「助けて、清水!!」


おっと、そんなこと言われましても…


「いいんじゃない?やってみれば、学級委員。」

「げっ!!」


あたしは、伏見くんが学級委員になることに大賛成!

あたしは音の出るほどにっこり笑って言った。

そして、伏見くん、あなたが立候補しないとこのホームルーム、気まずくなっちゃうじゃない?

私は全力で圧を込めて、微笑んだ。
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