極上パイロットはあふれる激情で新妻を愛し貫く~お前のすべてが愛おしい~
初恋の彼

ここ、東京(とうきょう)国際空港――通称羽田(はねだ)空港の空は晴れ渡っている。

離発着が繰り返される滑走路は、九月に入った今日も太陽の光の照り返しが強く、しっかり日焼け止めを塗っていても焼けてしまう。


「フライト、お疲れさまでした。なにか異常はありませんでしたか?」


エプロン――駐機場に停まったB787の機内で、四十二歳になるベテラン整備士の池尻(いけじり)さんが、袖に四本線の入ったパイロットの制服に身を包んだ機長に尋ねた。

池尻さんは新米整備士の私、夏目(なつめ)鞠花の指導係だ。


「はい、とてもいいフライトでした」


笑顔でそう答えた機長はフライトログ――航空日誌に署名して池尻さんに機体を引き継ぐ。

フライトログは飛行記録や整備作業の履歴が記されたもので、電子化されてからとても便利になったのだそうだ。
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