極上パイロットはあふれる激情で新妻を愛し貫く~お前のすべてが愛おしい~
髪の束を持つような仕草をした井上が、それを切るように手を動かすので、月島と顔を見合わせる。


「切ったのか?」

「そう。俺たちの目の前でなんの躊躇(ちゅうちょ)もなく。俺もよく一緒に仕事するけど、小柄でかわいらしい印象の彼女にあんなに度胸があるとはびっくりしたね」


矢野さんはベテランだけど嫌みな整備士だった。

俺たちパイロット訓練生も一年のみの勤務のため、『お前たちはいいよなぁ。腰掛けなんだし』とネチネチ言われた覚えがある。


「すごいな」
「艶々(つやつや)できれいな髪だったんだよね。もったいない。いつも束ねてたし、全然邪魔じゃなかったのに」


月島と井上が話しているのを聞いているうちに、とある光景が頭に浮かんだ。


「井上」
「なんだよ、怖い顔して」
「その女の子、夏目鞠花じゃない?」


俺が問うと、井上は驚いている。


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