高嶺の花も恋をする【番外編追加】
☆番外編 ④☆
冷凍フルーツサワーが豪華で有名な居酒屋で佐伯と大森と飲みながら、莉緒の到着を待って話していると、会話を止めさせる声が割って入った。

「あれ?もしかして佐伯くん?」

すぐそばから鈴を鳴らすような声で、目をやると隣の席にカップルが座っていた。

声をかけたのはその彼女の方で、その視線は佐伯へと向いている。

佐伯へ視線を向けると眉間にしわを寄せて明らかに気まずそうな表情をしているので、不思議に思い視線がその2人へ行き来する。

ー誰よ?佐伯ー

私の彼氏じゃないけど、何か嫌な気分。

すぐに相手の女が気になってそっちに視線を向けると、彼を面白そうに見ていた女性がクスリと笑った。

不快さを感じさせる嫌な笑い。

すぐに「佐伯、誰?」と聞いたけど、視線を落としたまま答えない。

するとそんな彼を見て、また笑みを浮かべた女性が私の質問に答えた。

「やっぱり佐伯くんだ。佐伯くんは私の元カレなんです~。すごく優しくて、何でも美歌のお願い聞いてくれていたんですけどぉ....。何か物足りないって言うか、もっと男らしい人がいいなって思ってお別れしちゃったんです~。」

元カレ?

この女、佐伯の元カノなの?嘘でしょ?

私が脳内プチパニックでいると、「佐伯くん、元気だった?あれから何か、避けられちゃったみたいで美歌悲しかったんだよ~。でも何かちょっとカッコ良くなったんじゃない?」と佐伯に言ってのけた。

甘えるような声や失礼な言い方に更に不快さを感じる。

顔はまあ可愛いけど、嫌な女だ。

自分は可愛いと自覚している放漫さと悪気はないと言いたげないやらしさを、この女の連れの男は感じないの?

そう思いその連れを見れば、この女と同じ思考なのか、薄ら笑みを浮かべている。

同類か.....。

そして佐伯に視線を戻して彼を見れば、相変わらず俯いている。

佐伯....まじか?

「佐伯、こんなのと付き合ってたの?」

無神経な女にムカつき、ついつい呆れた声で佐伯に言ってしまい、直ぐに大森に「おい!」と止められた。

「ひど~い。美歌こんな女って言われちゃった~」

そう甘えた声で自分の前に座っているイケメンくんに泣きまねを見せるこの女。

あざといな~こいつ。

前言撤回!顔も可愛くなんか無い!
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