白衣の王子たち

一か八かでベランダをあけてみると、

蓮くんがいないのに開いていた。

鍵閉め忘れちゃったのかな。

私としては好都合だけど。

さむいな、、、。

1人でベンチに腰掛ける。

少しまだ熱を持っているベンチ。

蓮くん、タバコ吸って仕事に戻ったのかな。

「、、、げほっ げほ。」

咳がひどくなってきた。

仮病なんだからおさまるでしょ。

そう、仮病なんだから。

何度も本田さんの言葉がループする。

蓮くんも佐倉先生も本当は

私のこと嫌いなんだろな。

わがままで、自分勝手で。

マイナスな考えが頭を占拠する。

「げほっ、げほ、、、うぇっ、、」

___ビチャッ

口から生ぬるい不快な液体が出てきた。

鉄の味が広がる。

なに、、、?

床のコンクリートに目を落とすと、

血溜まりができていた。

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