ラスト・クリスマス
ラスト・クリスマス
幸せそうな人々であふれる中、お馴染みのジョージ・マイケルの歌声が、やけに虚しく響いてくる…。

サンタクロース姿の私は、作り笑顔を終始浮かべながら、賑やかなショッピングセンターで、デモンストレーションの単発バイトに励んでいた。

お金のためというより、心に穴が空いたままで独りになりたくなかったから。

店内では、次から次へと定番のクリスマスソングが流れ続ける。

仕事の内容が単純なせいもあり、嫌でも耳に入ってきてしまう。

ショッピングセンター内は、楽しそうな家族やカップルが多いし、ここでのバイトは間違いだったかもしれないと、少し後悔した。

本当は、友達に声をかけようとも思ったが、恋人のいない友達は附属の女子校出身で実家暮らしが多いから、きっと家族で過ごすだろうし、私と同じく上京組は、何故か大抵、お相手が居る。

私も、彼と過ごす予定だった。

約1週間前までは…。
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