契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける



「でも、まさか悠介が来るとは思っていなかったのでびっくりしました」
『柚希ちゃん、悠介が弁護士だって知らないみたいだったから、言わないでいた方が楽しそうかなって。ほら、ヒロインのピンチに満を持してヒーロー登場みたいで悠介の株が上がったでしょ?』
「そうですね」

お茶目な夏美さんに、ふふっと笑いながら答える。
聞いていた通り、どうやら最初から悠介を同行させるつもりだったらしい。

『悠介は普段は企業の顧問弁護士としての仕事がほとんどだけど、欲目なしで見てもなかなか優秀な弁護士だし、なにより柚希ちゃんのためならどの弁護士よりも本気で向き合うだろうし、他に適任はいないと思ったの』

そう言われたら、サプライズを責める気にはなれない。

『あのね、そこからの帰り道に私のブランドのホテルがあるの。部屋をとってあるから、悠介と泊まっておいで。柚希ちゃんも疲れただろうし、ゆっくりしてきて』

突然の申し出に「えっ」と驚くと、夏美さんが続ける。

『悠介は了承してるから大丈夫。もう向かってるはずよ。あ、着替えとかお泊り道具は一式ホテル側で用意させてるから柚希ちゃんは手ぶらで平気よ。何か足りない物があったら、スタッフに言えばすぐに用意するよう伝えてあるから心配しないで。じゃあ、また近いうちにランチ行こうね』

明るい声のまま通話が切れる。
どこまで本気かわからない提案だったので、咄嗟に運転席を見ると、それに気付いた悠介は前を向いたまま口を開く。


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