契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
 彼の腕には、白いレースの愛らしいベビードレスを着た小さな娘。もの怖じしない性格の子で、きょろきょろとまわりを眺めている。
 子どもと三人で挙げるファミリーウエディング。参列者は両親と祖父母、ふたりの弟たち。身内だけのアットホームなお式だ。
 祭壇の前に到着し、父の腕を離し伊織さんの手を取る。

「新郎、東條伊織。あなたはここにいる東條結菜を病めるときも健やかなるときも、富めるときも貧しきときも、妻として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」

 伊織さんの力強い声。

「新婦、東條結菜。あなたはここにいる東條伊織を病めるときも健やかなるときも、富めるときも貧しきときも、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」

 ちょっと緊張してしまったけれど、わたしもはっきりと答えた。
 誓いの言葉のあと、結婚式の記念に新しくジュエリーオークラであつらえた指輪を交換する。
 そして、誓いのキス。伊織さんがわたしの顔にかかっていたベールを上げて、唇に口づける。
 無事結婚が宣言されると、会場から拍手が沸いた。
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