契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
「どうして? サイズもよさそうだし、ジュエリーオークラは世界的に著名なジュエリーブランドだ。品質は安心していい」
「いえ、そういう意味じゃなくて」

 困惑する結菜もかわいい。
 おそらく突然プロポーズされ、実感がわかないままジュエリーショップで指輪を買うという流れに戸惑っているのだろう。
 けれど、絶対に受け取ってもらう。
 彼女を説得するために契約の結婚だと言ってしまったが、俺は純粋に彼女へ愛の証を贈りたい。そしてそれ以上に、彼女を逃がさないための計算があった。
 義理堅い彼女のことだ。あとで我に返って、結婚を思い直そうとしても、指輪がひとつの枷になるだろう。ほかの男へのけん制にもなるし、一石二鳥だ。

「簡単なもので申し訳ないが、誓いの指輪だ。婚約指輪や結婚指輪は、いずれ銀座(ぎんざ)の本店に注文してきちんとしたものを贈る。とりあえず今回は、約束をたがうことはないという証だと思って受け取ってほしい」
「えぇ!? これだけじゃなくて、婚約指輪に結婚指輪? こんな高価なもの、そんなにたくさんいりません!」
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