契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
「じゃあ、また来週。お疲れさまでした」

 そうだ、来週の月曜日からは通常どおり出勤だ。周囲にはたくさん笹井田商事の社員がいたし、きっと今日の話は瞬く間に広がるだろう。
 どう対応しよう。また頭が痛くなってきた……。
 こめかみを指先で押さえるわたしの肩に、伊織さんがそっと手を置く。

「結菜、行こうか」
「あ、はい」

 社長車のドアの前で、運転手さんが待っていた。帽子を取って一礼する。
 伊織さんが恭しくエスコートしてくれて、わたしは黒いセダンに乗り込んだ。

「ふぅ……」

 退勤するだけなのに、なんだかまた派手なことになってしまった。
 わたしは後部座席の背もたれに寄りかかって、こっそりとため息をつく。
 けれど、今日という日は、このハプニングだけでは終わらなかった。伊織さんに連れていかれた先で待っていたのは、もっとすごいサプライズだった。
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