ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない

一緒に観た映画は確かに面白かった。
普段恋愛映画なんて全く見ないけど、
北川さんが嬉しそうにおすすめしてくれるし、
彼女が楽しいと思う話をしたくて、
俺は観ることにしたのだった。

ときどき俺たちは映画に対して
ああだこうだ言ったり、笑ったりしたけど…


「あー、彼、かっこいいですね。
あ、今のとこ、めっちゃ好きです。
彼女の気づいてないところで、
守ってる感じとか」

「わぁ、かっこいいかっこいい!
今の顔、セクシーでしたね」

「3桁の暗算できるのかっこよくないですか?」

さっきから北川さんが
映画の男キャラを誉めちぎるの、
ざわざわする。

「俺も3桁も4桁も、暗算できるけど」

俺の方がハイスペでイケメンだし!

しかもあっちはフィクション!
架空の人物だからかっこよくて当然。

俺はリアルだから!

実在するハイスペ!すごいだろ!


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