明日、この命が終わっても
死神と聞くと、君はどんなイメージを持つだろうか?多くの書物では、彼らは人の命を見境なく奪う邪悪な存在として描かれている。だが、誰かが作り出した想像と現実は違うものだ。

「……次はこの男か」

満月が輝く夜、黒いフードを被り大きな鎌を持った少年が呟く。夜の闇に包まれた空を彼は飛んでいた。彼の名前はラーグリマ。死神である。

ラーグリマの手には一枚の紙があった。次の仕事の内容が書かれている。

死神の仕事は、無闇に人の命を奪うのではない。残された時間が少ない人のそばに行き、その人が亡くなる時まで見守るのだ。そしてその人が死んだ後、その人の魂をあの世へ送り届ける。これが主な仕事である。

ラーグリマの手に握られた紙には、ローガン・ノートンという十八歳の男性の情報が書かれている。心臓に大病を患い、両親が何とか手術費を工面して十二歳の頃に手術を海外で受けたものの、失敗。病は治ることがなく、彼の命は一歩ずつ終わりへと近付いている。
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