この胸が痛むのは
それから約半年間、レイとふたりで誠心誠意謝り続け、許して貰った。
彼には今回のクラリスの件でも、凄くお世話になった。

カランの遠縁の令嬢が、名前を貸してくれたのだ。 
金髪青い瞳で、クラリスより1つ年下の男爵令嬢。
病弱な彼女は学園にも通わず、社交界も参加せず、ゆっくり田舎で静養をしている。
2年だけ、そういう約束だ。
ストロノーヴァ先生に受け入れられるにしろ、拒否されるにしろ、留学旅券の期限切れになる前に、一度は帰国しないといけないことをメモに書き、報告書に添付する。


 ◇◇◇


必ず立ち会えと言われた、ラニャンとの会談。
王太子と外務大臣に俺。
ラニャン王国の外交官、事務官。
バロウズがリヨン王国内に、3年前に蒔いた種子が花開こうとしていた。

会談の主題はラニャンに預けたリヨンのフォンティーヌ第2王女だった。
母国リヨンで王女を養女にしようとしていた公爵家に、中立派の公爵家が味方に付くと、連絡をしてきたのだ。
この公爵攻略に3年かかった。
リヨン三大公爵家の残る1つが、王太子の実妹第1王女が降嫁した公爵家だ。


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