この胸が痛むのは
「アグネスから姉の話はお聞きになりましたか?
 私のせいで、彼女の母と姉が亡くなりました。
 アグネスにそれを伝えなくてはいけないのに、話そうとしても上手くいかないのです。
 この秘密がある限り、私はアグネスを幸せには出来ない」


話していく内に、あの時の自分の愚かさが甦り、胸が詰まった。
先生からの忠告を流して、バージニアを避け続けた。
妹は去年、辺境の地で落馬事故で亡くなった。
辺境伯夫人は、新たな婚約者を探していると聞いた。
義姉は未だに俺の顔を見ない。
リヨンから戻りスローン侯爵家に行けば、プレストンには会えたが、侯爵には会えなかった。


これは罰なんだと、わかっている。
受け入れるしかないと。
全て、俺の……


「クラリス嬢の事は亡くなったとしか聞いていません。
 話せるなら、そこからお聞かせ願えますか?」
 

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