この胸が痛むのは

第68話

その日以降、私が中等部の図書室へ行く事は無くなりました。
あの美しいけれど怖いひとと会うのを避けたかったからです。

幸いなことに、クラスのグループ編成はまだ決定には至っていなくて、途中参加の私もどうにか
仲良くしてくださるご令嬢方を見つけて。
トルラキア貴族学院中等部の日々が本格的に始まりました。

トルラキア語の家庭教師も続けていて、話す方は簡単な言い回し等も使用出来るようになり。
聞く方もゆっくり話していただけると、それ程の苦労がなくなり始めて。
手元にはいつも、ストロノーヴァ先生からいただいた辞書がありました。


中等部の図書室に行けなくなったので、王立図書館で目的に近い本を借り辞書を引きながら読んでみましたが、今ひとつ理解出来なくて。
失敗など許されないので、正しい方法を知りたいのです。
やはり、ストロノーヴァ先生のお力をお借りして教えていただけたら、と思うのですが……

ですが、先生のご実家はあのストロノーヴァ公爵家。
ご家族の反対を押し切り、半ば強引にバロウズヘ来られたと仰っていました。
その頃の教え子ですと、お伺いしても多分通していただけません。

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