この胸が痛むのは
余計な便りを送ってきたのは、殿下が酔うと武勇伝の様に語り出す学生時代の馬鹿騒ぎを、共に
経験した悪友の子爵令息だ。
殿下は『世情を知る為』と称して、低位貴族の
子息達と付き合う事を好んでいた。


他国の王配として婿入りした殿下にその様な便りを送るのも無責任だし、それを受け取り心乱れる殿下にも呆れる。

俺に話した覚悟とは何だったんだ。
何の検閲も無しに自分の元に、母国からの手紙が渡ると思っていたのか。
封さえされていたら、誰も読んでいないと信じたのか。
立場に対する自覚もない、脇の甘さにも腹が立つ。


当然うちと同時にラニャンの大使も呼び出されていて、オーガスタと子爵令息の処理は任せると言われていたそうだ。
リヨンはわざと両国の大使を並べて注意勧告した。

クライン殿下は自分の軽率な行いが元恋人と悪友にどんな影響をもたらすのか、それさえも考えていなかった。
ラニャンも愚かな第4王子に頭を抱えているだろう。
そうだ、ここまで女王陛下に筒抜けなら。


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