この胸が痛むのは
「殿下もお疲れでしょうに。
 私でよければ、スローン侯爵令嬢をお迎えに上がりましたよ」 

冗談じゃない。
アグネスの迎えは誰にも譲らないぞ。
だが……


「そんなに疲れて見えるか?」

「ご本人が自覚されているよりも、もっと、
です」


疲れているのは、俺に同行していたレイも同じだ。
今夜は辺境伯夫人に付いて欲しいと頼んだ。
俺の明日の予定は、夜からスローン侯爵家訪問だ。
侯爵から晩餐に誘っていただいた。
午前は打ち合わせで忙しいが、午後は少しゆっくりしようか。
プレストンの都合次第だが、帝国に戻る前に話も聞きたい。
レイには2日間休んで貰っても、支障はないな。
歩きながら、あれこれ考える。



王族控えの間では、皆が思い思いに寛いでいた。 
夜会では飲み物以外口にしないので、一口大の
軽食が用意されていた。
俺は新年の国民参賀にも参加していなかった。
国王陛下以外は、今年初めて会うので新年の挨拶をする。

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