この胸が痛むのは
和やかな感じではないが、とりあえずクラリスの協力は取り付けた。
来週からスローン姉妹には、見えないところで
護衛を付ける。
父親の侯爵宛に俺から書状を出す事を伝えた。


「恋仲ではなくて、仲の良い友人だと父に言えば良いんですか?」

「誤解の無いように、侯爵には事情は伝える。
 侯爵から承諾を得たら、君を女友達として扱わせて貰いたい。
 だから申し訳ないが、夜会の日も迎えに行かないし、花やアクセサリーも……」

「ただの女友達ですから現地集合、現地解散で
結構ですよ。
 お互い、馬車の中で無言が続くのも疲れます
ものね?」 


最近、俺の言葉は途中で遮られることが多い。
本当に……ああ言えば、こう言う。
頼むからアグネスには、いい影響だけを与えてくれ。


「父がわかっていてくれているなら楽ですわね。
 母にも話すと危ないと反対されそうですけれどそれは父に任せますね。
 そうなった事情を知らなくても、母ももう懲りて勝手な事はしないと思います。
 ただ……」

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