この胸が痛むのは
侍従のカランの協力無しでは始まらない事を教えて、もし予算がおりないのであれば、城下へ降りて算段をしてくる事を伝えた。
レイノルドの母、ムカつくマーシャル伯爵夫人を出し抜けるなら、どんな協力だって、カランは
がんばるだろう。


『ありがとう!さすがはレイだ!打てば響く!』

満面の笑顔で言われて、これだから、うちの王子様はと、再び思った。
そんなに簡単に弱味を見せて、ひとに頼って、感謝して。
無意識にひとから善意を差し出されて、疑うことなく、それを受け取る。


歯痒く思う時も度々だが、この殿下の様な人間も王家に1人は必要かな、とも思う。
王太子殿下は腹黒だし、第2王子殿下は単純明快にまず自分を優先する。
第1王女殿下は早くどこかの国へ嫁に行って欲しいメスガキで、第4王子殿下はどう育つかまだわからない、ただの子供。

王城で王族人気アンケートを取ったら、うちの
王子様はぶっちぎりの1位だろう。
うちの母上が組織票を大量に投入してしまうからだ。
レイノルドはアシュフォードの事となると、目の色が変わる母親を思うと、いつも同じ気分に襲われた。

『あんたの本当の息子は、俺だよ』と。


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